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研究紹介

地質分野におけるSEM–EDX (EDS) 定量分析

名古屋大学博物館のSEM HITACHI S-3400Nでも無水珪酸塩鉱物であれば,定量分析ができるようになった.

名古屋大学博物館のSEM-EDXによる無水珪酸塩鉱物化学組成の 定量 ... www.num.nagoya-u.ac.jp/outline/report/pdf/034_01.pdf

EDS分析に用いるSEMが電流値をコントロール出来ないため,スタンダード測定時と同じ条件で測定できない.そのためトータルが100%を超えてしまったり下回ったりする.そのため,100%に規格した値を用いる必要がある.

推奨値との絶対誤差は0.5 wt. %以下で主要元素を議論する上では問題ない.0.5 wt. %以下の微量元素は検出不能になることが多く,名古屋大学博物館の現条件でのEDSは主要元素用のシステムと言える.しかし将来的に測定時間をより長くすれば微量元素測定にも手が届くかもしれない.

ちなみにトータルを常に100%にするためには,電流計を後から付けて同じ条件になるように調整することが求められる.今の所,珪酸塩鉱物分析時には電流計を使っていない.

データ取り出しに難があり,デフォルトのIncaのソフトウェアが大量の組成分析を行うことを考慮されていない.1分析ごとのレポートという形でしか出せなさそうだ.

同様のSEMとEDXを使ったシステムは立正大学でも用いられている.

SEM-EDX による珪酸塩鉱物の定量化学分析 - 立正大学 地球環境科学部 ... es.ris.ac.jp/~es/kiyou/p099_ron09_kawano.pdf

SEM-EDS による火山ガラスの定量分析と問題点 - 立正大学地球環境科学部 ris-geo.jp/pdf/publication/202_ronbun_KOGURE_hoka.pdf

こちらは名古屋大学のシステムと違い電流計が後付けで搭載されている.

火山ガラスの測定用のスタンダードは黒曜岩がよいと書かれている.SiO2のwt.%がスタンダードの推奨値より2.0%程度高い問題が報告されている.