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研究紹介

メモ illustratorで地質図を描く方法

illustratorで地質図を描いている人は多いだろう.地質図は,地表に出ている地層ごとに色分けされた地図であり,断層などは太い線で書かれている.また地層の傾きなどの情報ものっており,その地域の地質学的研究,あるいは建築や土木などにおいても重要なデータである.

地質図を書くためにはまず紙などに下書きした地質図を作成し,それをベクター系ソフトなどで清書するわけである.

地層ごとの境界線や断層の線はパスを用いて書けば良いので特筆すべき事はない.地質図を描く上で重要になるのが色塗りである.

色塗り

この色塗りは,単純な地質図の場合は,すべてをクローズドパスで作る事が可能である.つまり,楕円形やひし形などの形にして,フィルで色を付けるわけである.

しかし複雑な地質図になると.この作業は地獄になる.長い線にたいして半円を繋げたり,円を線で区切るなどの場合はおそらく複合パスを使用しないといけないが,とてつもなくめんどくさいし,難易度が高い.また断層とは別に二重に線を作るなどが考えられるがそれも厄介である.

そこで出てくるのが,ライブペイントである.ライブペイントは色塗りみたいなツールである.

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ライブペイントを使用し色塗りをした後に線を変形させるとそれに応じて,塗りも正しく変化する神ツールである.そして線の太さなどが違っていても,問題ないようである.

ライブペイントは強力ではあるが,それにより作られた塗りの部分を個別に非表示にしたりすることはできないようである.

ライブペイント拡張

そこでライブペイントのオプションである拡張を使用する.これすると一つだったライブペイントレイヤーがパスとオブジェクトに分解される.これでオブジェクト単体で非表示にできるようになる.

できたオブジェクトレイヤー内に新たにレイヤーを追加して,例えば白亜紀や何何層などで一括してまとめることができるだろうか.それはよくわからないロックが掛かっていて内部に別のレイヤーを作ることができない.しかし,コピーなどでオブジェクトやパスを外に持ち出すことはできるので,外に新たにレイヤーを作れば一括で管理できる.

しかし,ライブペイントを拡張するともともとあった線を変更しても自動的に塗りの形が変更される効果がなくなる.途中で変更をしたい時どうすればいいのか,塗りのオブジェクトを変形させて合わせるしかない.

実験的な取り組みとしてライブペイント拡張したオブジェクトやパスに対して再びライブペイントができるようである.これをすると,もともとの2つのレイヤーから,ライブペイントという一つのレイヤーが階下にできる.これを再び拡張するとその階下にまた2つのレイヤーができる.そういうわけで,線の位置を変更しても,再び色塗りができるようである.しかし,よくわからないまとまりであるライブペイントレイヤーにもどってしまうことがわかる.

同じ線だけのファイルを複数利用してレイヤーごとにライブペイント

ライブペイントを使用したままある地層ごとにレイヤーを分けようとするとき,塗る前の線だけのレイヤーを複数用意して,それぞに別々にライブペイント適用する事が考えられる.これにより,A層のライブペイント,B層のライブペイントといったように地層ごとにレイヤーを分けられるので,特定の層だけを表示したいときは便利である.しかし,線の変更を行った時すべてのライブペイントレイヤーに対して同様の変更するか,レイヤーを複製して新規に塗り直す必要がある.

Inkscapeの場合

Inkscapeの場合このライブペイントに近いバケツツールがある.バケツツールはある区切られた場所,例えば縁があれば円の中を塗りつぶしてくれる.ラスター系ソフトに極めて近い.もし線を変更した場合は.塗ったものを削除してまたバケツツールで塗り直せばいいわけである.なので本来のライブペイントのように線の変更に追随してくれない劣ったものではあるが,塗られたものはオブジェクトととしていつでも普通に扱えるため,利便性がライブペイントでの塗られたものよりも高い.

正直,地質図を線の集合体と捉えるとベクター系のほうがよいはずだが,塗りはラスター系の本分であるんじゃないだろうか.なので塗りに近いところができるバケツツールがあるinkscapeのほうがイラレよりは塗りやすい.変更しないのであれば,ラスター系ソフトで色塗りをしてもいいと思うけれど,でも実際のところ地質図なんて細部は多少の変更を加えるものだから,それは厳しい.地質図幅みたいにこれで行きますとなって,完成版から変更しないのであればよいのだろうけど,出版される産総研などの地質図がどうやって書かれているのかはしらない.シームレス地質図はベクターっぽいので出版されている地質図もベクターなのかな.